タイトルを見た途端、連想したのはわが師野田知佑さんである。で、やっぱり野田さん推薦のオビが付いていた
『モリでひと突き』著者は現在国立科学博物館の研究員。アカハタの遺伝子を解析して進化の歴史を追っている。
山形大学の「アクアライフ」というアウトドアサークルに入ったのがきっかけで、モリで魚を突いて捕る事を始める。
本の前半は、サークルの仲間たちとの佐渡・九州・神津島・三宅島魚突き旅行の話。潜って突いて、捕った獲物でご飯を作っての楽しい旅行。雑誌BEーPALみたい。
体一つで潜って、狙い定めた獲物にモリを打って仕留めることは、さぞ狩猟本能が刺激されて、血沸き肉躍ることだろう。「とったどー!」である。
あ、例の「とったどー」の番組は、著者が企画段階でプロデューサーに請われてアドバイスをしたり、友人に頼んで芸人に魚の突き方を教えたりしたそう。
後半は著者の研究のための豆南諸島調査の記録。豆南諸島とは、伊豆諸島と小笠原群島の間に位置する4つの無人島群で、ここはダイビングや釣りなどの遊漁船やヨット、近海漁業船の渡航が禁止されており、航行できるのは大型客船や許可を取った研究目的の船に限られている。
そんな特別な場所での魚を突いての調査の初日に、著者は片耳の鼓膜を破ってしまうのだ。激痛。なのに、もちろん普段と同じようにとはいかないが、潜ってしまうのである。ひえ~。
なんどか沖縄でシュノーケリングをしたが、水族館で見るのとは違い、海の中で出会う大きな魚は怖い。
同じ空間(水中間?)に、いるかと思うと落ち着かない。
この本に出てくる、魚が大きいのだ。67cmのカンパチ、86cmのカスミアジとか100kgクラスのイソマグロとか。サメもうようよいるし。ああ、怖い、怖い~!
ただただ楽しい本の前半より、研究目的の後半の話の方が、著者の筆も静かに熱く、面白いと感じた。