人気ブログランキング | 話題のタグを見る

昼寝亭日乗 本か猫か食い物

hiruneyohu.exblog.jp
ブログトップ

あいまいな日本語の私 「きのこる」って、なに?

『世にもあいまいなことばの秘密』

新聞に全5段広告が!すごい!

日本語に限ったことではないが、普段何気なく使っている言葉にはあいまいな部分があって、読み方次第で意味が変わることがある。

「この先生きのこるには」。は?「先生」が「きのこる」て?そうです。「この先、生きのこるには」ですね。読点を打たんか。
「男性ブランコの浦井君は双子の妹がいる」。浦井君自身が双子の兄で、妹さんがいる?浦井君には妹さんたちがいて、彼女たちは双子?
「東野圭吾のおすすめ小説」って、東野圭吾さんが選んでくれた本?誰かが選んだ東野圭吾さんの本?
「ピザ・トースト」は、「ピザとトースト」か「ピザトースト」か。
「太郎が好きな人」は、「太郎がその人のことを好き」なのか「その人が太郎のことが好き」なのか……。まだまだいっぱい。

「頭が赤い魚を食べる猫」という文には、なんと5つの解釈があるのだ。

ああ、ややこし。文法が苦手な私は、時々眉間にしわを寄せながら読んだ。取り上げられた例が、お笑い芸人の話やネタが多く、川添先生はプロレスだけでなく、お笑いもお好きだったのか!

私たちは自分が思っているように、ほかの人も受け取ってくれていると思いがちだ。しかし、言葉のあいまいさにちょっと敏感になると、言葉のすれ違いは少なくなる。無用な誤解が避けられるようになるのだ。

『世にもあいまいなことばの秘密』川添愛 筑摩書房
あいまいな日本語の私 「きのこる」って、なに?_c0095416_00444398.jpg

# by hiruneyohukashi | 2024-03-23 00:07 | | Comments(0)

よい子はマネをしないでね

『見たことのないものをつかまえたい! 世界の変な生き物探訪記』
『外来魚のレシピ』

自ら珍獣ハンターを名乗る著者。小さいころから生き物好き。大学院の研究対象も深海魚。生き物好きが高じて、世界中の珍しい生き物を捕まえて回っている。時には捕まえたものを食べる。テレビで何度かお見かけしました。

『見たことのないものをつかまえたい! 世界の変な生き物探訪記』では「グリーンイグアナ」「リュウジンオオムカデ」「アリゲーターガー」「デンキウナギ」「オオヒキガエル」「グンタイアリ」「タスマニアオオガニ」「サメ」「深海魚」を捕まえに行った話が載っている。

石垣島に外来生物として大繁殖しているグリーンイグアナ。これが食べてみると実においしいというところで、そういえば以前読んだ本で、南米でイグアナ売りの人が、イグアナを手に持って道に立っているという話を思い出した。(グリーンイグアナの原産地では、養殖されているそうだ)

沖縄本島北部にいるリュウジンオオムカデ。長さ20cm(!)幅2cm(!)と日本最大。著者が捕まえるほんの数週間前に、新種であることが分かったという(2021年4月)。日本産のオオムカデ類の新種が発見されたのはなんと143年ぶりで、そのニュースは生き物好きを喜ばせたが、有毒のため駆除してほしいというという意見も多かった。新種なので、どれくらい毒がきつくて、どんな症状が出るのかわからない。で、「じゃあ、これからぼくが実際にかまれてみるね!」って、おい!かまれた左腕の脇下のリンパ節がはれて痛み、時間がたつとはれが左腕全体に広がる……。※その後リュウジンオオムカデは環境省より、捕獲・殺傷は規制

さらにアマゾンではデンキウナギを捕まえ、感電し(水中でつかむと感電死の恐れあり)、食べ(まずい)、石垣島で外来生物で毒のあるオオヒキガエルを食べ(毒で口の中が麻痺する)、オーストラリアで11kgもあるタスマニアオオガニを捕まえ食べる(すごくおいしい)。

『外来魚のレシピ』は2014年とちょっと古い本。ここではブラックバスやブルーギル、プレコなどの外来魚とアフリカマイマイ、カワヒバリガイ、カミツキガメの外来種を食べる。アリゲーターガーが日本の川にいるとは!

好奇心のおもむくまま、過激だけど、これが著者平坂さんの生き物へのアプローチの方法なんだろう。体に気を付けてね。陰ながら応援してます。

『見たことのないものをつかまえたい! 世界の変な生き物探訪記』平坂寛 偕成社
よい子はマネをしないでね_c0095416_00054482.jpg

『外来魚のレシピ』平坂寛 地人書館
よい子はマネをしないでね_c0095416_00122195.jpg

# by hiruneyohukashi | 2024-03-16 00:09 | | Comments(0)

日本美術を見る旅へ

『日本美術・この一点への旅』

故・赤瀬川原平さんの後をついで、山下先生、日本美術応援団団長になられたのですね!
2代目団長・山下先生が全国47都道府県の「この一点」を勧めてくださいます。

最近は8K撮影で実物よりよく見える画集もあるのですが、わ、デカい!とか、え、こんなに小さいの?!とか、ひえ~、細かいとか、やはり本物が持つパワーは違います。

見覚えがある作品がたくさん出てきますが、それがどこにあるのかは、意外に知りませんでした。有名な作品がみんな東京や京都・奈良にあると思ったら大間違い!

雪舟の国宝『四季山水図(山水長巻)』って、山口県の毛利博物館にあるんですね。狩野永徳の国宝『上杉本洛中洛外図屏風』は山形県米沢市上杉博物館だし、国宝『火焔型土器(指定1号)』は新潟の十日町市博物館なんですね。

彦根城博物館にある国宝『風俗図(彦根屏風)』。元々は井伊家伝来のものだったが、相続税問題で1994年に約12億で売却に。彦根市が買い取ろうとしたものの議会の反対で頓挫。その時、スーパー平和堂創業者の夏原平次郎氏が私財を投じて市に全額寄付して、事なきを得たそう。平和堂エライ!太っ腹!お金持ちの正しいお金の使い方です。

さらにプラスアルファで周辺の美術館や博物館の情報もあります。

この一点を目当てに行くもよし、どこかへ行ったついでに足を延ばしてみるのもよし。

『日本美術・この一点への旅』 山下裕二 集英社
日本美術を見る旅へ_c0095416_23585710.jpg

# by hiruneyohukashi | 2024-03-09 00:15 | | Comments(0)

言語沼へようこそ

『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』

著者は、出版社勤務で言語オタクの水野太貴とその友人の作家でYoutuber、言語素人の堀元見。
堀元見は水野太貴が始めたYouTubeチャンネル「ゆる言語ラジオ」で聞き手を務めている。
この本はその「ゆる言語ラジオ」の書籍化ではなく、ふたりが新たに書き下ろしたもの。

生まれてこのかた、ずっと日本語をしゃべっている私(日本語母語話者)。
改めていわれてみると「あのー」と「えーっと」って、どこが違う?
音が持っている大きさ、「お」は「い」より大きいって?
言葉を覚えたての子どももオノマトペを理解できるって!?で、オノマトペは日本語学習者には悩みの種なんだとか。
「を」「が」「に」「で」などの格助詞問題。これ、私もよく悩みます。「山に登った」「山を登った」どう使い分ける?

ふたりが掛け合い漫才のように、時には脱線しながらこれらのことを解説してくれる。な~るほど~。

『言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ 言語沼』堀元見・水野太貴 あさ出版
言語沼へようこそ_c0095416_01053933.jpg

# by hiruneyohukashi | 2024-03-02 00:08 | | Comments(0)

ほんじょ夫婦のリレーエッセイ

『一泊なのにこの荷物!』

俳優さんって文章の上手い人がたくさんいますね。この本の著者ほんじょ(本上まなみ)もその一人。以前から愛読しております。
図書館で、お、新刊だ!と予約した本は、ほんじょとその夫で編集者の澤田さんとの共著でした。

澤田さんといえば、椎名誠のエッセイを読んでいる人にはおなじみの「ドレイの澤田」その人です。ずいぶん前、ほんじょと結婚のニュースに、ドレイが年下美人女優(18歳差)と結婚?!と驚き、これは嫉妬から周りにいじめられるのでは、と心配したものです。

二人の子どもも、お姉ちゃんはもう中学生だし、弟君も小学生。結婚生活も20年ほどになるそうです。同じテーマで、妻→夫の順に書かれたエッセイは、2020年の春から連載され、それはコロナの自粛生活と重なることになりました。

ニュースでは、自粛生活で関係が悪化した夫婦や親子の話を目にしました。ほんじょの家では、今まであわただしかった朝食が、家族そろってゆっくりに。近くの賀茂川に行って怪しい体操したり、鬼ごっこしたりキャッチボールしたり。お姉ちゃんは家で本を読んで、居心地いいんでしょう「このままでええなあ」。とっても仲良し。
ほんわかのんびり学校の成績もぼちぼちだった妻に、成績優秀で学級委員、なかなかこだわりが強そうな夫、子供二人は妻似のようです。

あとがきに、夫婦そろって結婚記念日を忘れるという話が出てくるが、うちも長いこと結婚しているが、ふたりして結婚記念日を覚えていたことが一度もなく平和である。

ほんじょの出身高校最寄りの駅ビル内の書店の店長さんが以前、「本好きの本上さんならうちの店にきっと来たと思うんやけど、あんな美人が来たら絶対覚えてるはずなんやけどなあ」と話されていた。この本を読むと、ほんじょは住まいが隣の市で自転車通学だったのでした。


『一泊なのにこの荷物!』本上まなみ・澤田康彦 ミシマ社
ほんじょ夫婦のリレーエッセイ_c0095416_23123477.jpg

# by hiruneyohukashi | 2024-02-24 00:05 | | Comments(0)